2013年12月8日日曜日

「豊かさとは何か」の一つの答え

生目古墳群史跡公園 2013.12.8 

自分は、まだ、若輩者の40歳なので、とても、この答えは出せないと思うのですが、最近、少しヒントがみつかりました。

先日、九州の先生から、「小木さん、弁理士たるもの、軽自動車乗って、お客さんのところに行くのはどうかと思う・・」と指摘されました。

確かに、高級車で客先に向かった方が、頼もしい先生と思われるのだろうなあ・・と何となく思っていたのですが、どうも自分ではピンと来ない・・。宮崎のお客さんだと、高級車で行くと、かえって、身近な先生であると感じてもらえないのではないだろうか・・と感じていました。

経済的に豊かであることを、形として見せることが事務所として、豊かなことなのだろうか?ということで、悩みました・・。とはいいつつ、軽に乗り続けてしまうのですが・・。

一方、うちの宮崎事務所には、今年の春から常駐してくれるスタッフが入りました。

男性が2名、女性が1名。いずれも個性的な方達で、しかも、僕よりも年上。僕の方から、この人が事務所に入ってくれたら嬉しいな・・と思って、それぞれ、全く別の方からの紹介でお会いして、事務所にお誘いしました。つまり、3人とも、まったくお互い知らない状態でした。

僕の中では、この3人が仲良くなるのかな・・ということは、あまり意識していなく、まあ、うまく楽しくやってくれるだろう・・という非常に楽天的な考えでいました。今思うと、もうすこし心配しても良かったようにも思います・・。

ある日、出張から帰宅したお昼時、なんと、3人が狭いテーブルで、一緒にランチをしているのです。しかも、いつも一緒に食べているよ・・という雰囲気で・・。僕は、結構、長期の出張に出てしまうので、僕と会うよりも、スタッフの3人が出会っている時間のほうが長いことも多々ありました。

そのせいか、急激に親しくなっていて、宮崎の地元話に花を咲かせていました・・。

このうち、一人の技術スタッフは、特許関係の仕事を20年以上やってらしゃるベテランです。したがって、いくつかの特許事務所をまわってこられました。

この方がある時、僕を空港に送ってくれる際に、

「小木さん、うちの事務所って、すごい楽しいですよね。今までにこんな事務所なかったです。」

僕はこれを聞いた時に、泣きそうになりました。

これだ!僕が目指している事務所は、これではないか!

働いている人が、心から面白い、良い事務所だと思ってくれる事務所こそが、僕が目指すべき、豊かな!事務所なのではないか、ということを感じました。

まだまだ、立ち上がったばかりの事務所なので、これから、困難がたくさんあるかもしれません。ただ、それらの困難を一緒に乗り越えてくれる仲間達がそばにいることが、僕が求めていた、豊かさ、なんだと心から感じました。

2013年10月27日日曜日

社会の知を向上するためには・・

パラレルな知性 鷲田清一先生 著

「専門的知性」と「市民的知性」を繋げる鍵はどこにあるのか、問いかける本です。

僕も、ここのところ、自分の考えがなんで一般の人に伝わらないのかなあ、と悩んでいました。

そこで、自分ができるのは、相手の馴染みの言葉で表現することを試みる、ということでした。

たとえば、「イノベーション」という言葉は、大学生、デザイナ、エンジニア、マネージャー、経営者、マーケター、大学の教員・・で、全く違う意味に理解されますね。そこで、相手の発想にあうように、「商業的な成功」(マーケテイングの関係者に)とか「業界を変える革新的な技術」(エンジニアむけ))などと(すみません、例がうまくない・・)、彼らの用語に合わせるように、努力をしています・・。

写真の本書は、縦割りになりすぎた(所謂)専門家が、市民の感覚で横(専門外)を見ていない(特に、原発事故での専門家の対応など)ので、社会全体の知性が向上しないことを警告しています。

門家がリスクを犯して(つまり、自分があまり馴染みがない知識分野に突入して)、他の専門家と交流することで、社会全体の知性が向上する、ということを、専門家が自覚する必要があるのでは、ということを本書を通じて感じました。僕らがもっと市民の知を高める努力をしないで、誰がそれをしてくれるのか?

若干、耳が痛いですが、お薦め本です。

2013年9月23日月曜日

MRTラジオの収録がありました。


まさか、自分の人生で、ラジオのパーソナリティーから、

「それでは、今日のゲスト。小木さんのお薦めの一曲を・・」なんて、聞かれると思っていませんでした・・。

今度、MRTラジオのサンデーラジオ大学という、20年以上も続いている番組に出させていただくことになりました。

弁理士自体のプレゼンスも増やして、一般の方に、弁理士をもっと知ってもらいたい・・という意図もありました。
また、知的財産は、宮崎でもかなり重要になっていることを、一般の方にアピールしたい・・と思っていました。

なので、できる限り簡単な言葉で、これらをアピールしてみました・・。1時間も時間をいただけるので、調子に乗って、インテルのオープンイノベーションも説明してみましたが・・、いかがでしょうね・・。

パーソナリティの薗田さんは、低い声で素敵な女性でした。

推薦曲は、ヒラリー・ハーンの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番から2曲。石川滋さんのバッハ無伴奏チェロ・ソナタから1番のプレリュードを選びました。AMだけどバスの音、聴こえるかなあ・・楽しみです。

放送は、10月6日の17時より、MRTラジオです。
宮崎県外の方は、こちらで、MRTラジオを選べば良いようです(radiko)。 http://radiko.jp/

ぜひ、聴いてくださいね!

2013年7月7日日曜日

東京の人は冷たいよね、って、言い訳しない。


今でも、宮崎に住んでいながら、東京の神田の床屋に通っています。すみません、仕事の合間に行っているという意味でして、髪を切るためだけの為に東京へ行っているわけではないのですが・・。


ここの店長はとにかく人に熱い!「九州は人付き合いがいい人が多いけど、東京はそうでもないよね」なんて、ステレオタイプで社会は判断できない。

東京の下町で熱い人脈を作っているのは、店長が愛情を持って人に接しているからでしょう。自分の場合、確かに、宮崎では、近所の小中学生に挨拶されることが多いため、僕から、思い切ってお年寄りに挨拶することも増えました。でも、関東では地元でもしていない・・。

そんな僕の振る舞いが、東京の話しにくい人を自ら作っているかもしれない・・。そんなことを感じました。

僕らがいい社会を作る世代だとしたら影響は大きい。場所によらず、愛情のある社会を作る一員を担うべきなのでしょう。床屋さんは「アドバンストヘアーナカタニ 神田」で検索すると電話番号がわかります。店長は床屋さんの全国コンテンストで優勝していまして、後ろがトロフィーです・・。

多すぎ?愛情がある人は仕事もすごいですわ。

2013年6月3日月曜日

とても先の未来を考えてみよう


「いつ100年後を考えるのですか?」

「今でしょ。」(手振りも!?)

著者によるとSF作家の予測よりも現実の進歩のほうが早いようで「月世界旅行」を書いたジュール・ヴェルヌ、23世紀を予測したスタートレックなどの世界は彼らが予想した時期よりも早くやってきているとのこと。

しかし、絶対到来するとされた、電子化による完全ペーパーレス化や、リアルの旅行に代わるバーチャル旅行などは未だに実現していない。

これらの進化の取捨選択は、人間の原始的な欲求(紙がなじんでいる、リアルに人は体験したい)と関係があるということです。

この理論、みなさんの新製品や新サービスのビジネス化には参考になるかも!?

理系特に物理好きにはたまらん本でお薦めです。

僕は、仕事柄、発明家とよく会うのですが、その人の発明のセンスが良いと、なんで、この人は、こういうこと考えるのかな?とよく思います。その後、2,3時間話を聞いていると、その話を聞いた発明のアイデアよりも、もっと壮大なビジョンやアイデアを背後に持っていて、その一部を話しているに過ぎない発明家が多いのです。

なので、こういった未来を自由に創造する書籍をヒントに、自分の発想を自由に超遠くまではばたかせて、今の現実のアイデアを考えてみるというのも、かえって、アイデア発想力を高める近道なのかもしれませんね。

「2100年の科学ライフ」ミチオ・カク著

2013年5月5日日曜日

魅力的な地方の人とは?



宮崎から東京にわざわざ出張!大変ですね・・といっていただいて、ありがたいのですが、

若干、「物珍しい人ねえ・・」というリアクションをいただきます。。

出張は派手に見えますが、むしろ飛行機などでかっちょよく移動して、自己満足しているケースがおおい自分に気がつく。。

これだけ、メールや電話会議でなんとかなる世の中ですから、むしろ、会いに行かなきゃいけないのは、仕事の効率化ができていないとも!?

それでは、なぜ遠くても会いに行くのか?

それは、データや情報では伝えられないものを、遠くのその人に伝えに行くためだと思います。

例えば、それは、”想い”だったり、”気持ち”だったり、”意思”だったり。

となると、”想い”とか”意思”を、その場所(宮崎とかの地方)で持っていなかったら、遠くの人にも、心からは伝わらないのだと思うのです。また、その人から、宮崎からわざわざ来てもらって、話しをききたい!と思われないと思います。

ところで、自分のように、都会でのじゃっかん厳しいサービスレベルを求められているにもかかわらず、宮崎に来ていると、果たして、都会の人達に、これからも会いたいと思ってもらえるのかなあ?という疑問をもつことがあります。

仕事が、第一次産業などであれば、地方の魅力を伝えられるため、都会が興味をもつような魅力がたくさんあると思います。

ですが、自分のように法律サービス業で、都会から中途半端に地方に来ていると、サービスの実力がだんだん落ちるだろうと見られている傾向もあります。つまり、会いたいと思われなくなるのかなと・・。

しかし、最近、考えが変わりました。

よく、宮崎で仕事をしていると、いわゆる、東京ブランド!?みたいな感じで、宮崎のお客さんに、東京で仕事をしていることを伝えることで、サービスレベルが高い!などと、勘違いしてくれることがあるように思います。東京で仕事をしていたからといって、サービスレベルが高いということは、当然無いわけで・・。

私などは、効率化しすぎている都会のやり方よりも、少し浪花節で、人との関係を大事にする地方の働き方のほうが、サービスレベルがどんどん高くなる気がしています。

都会風の残念なサービスレベルの決め方は、「他のレベルもこんなものだから、この程度でいいだろう。」という決め方のように思います。

本来あるべき姿は、

「このお客様はこう考えるから、専門家である僕らが提供できるサービスはこうあるべき。だから、こうやってみよう。」という決め方かもしれません。

残念ながら後者は、時間もコストもあわないことが多い。でも、他人との比較ではなく、自身の専門家としてのあるべき姿を追求するわけですから、実力が格段に上がるような気がします。

でも、なかなか、これができるのは難しい・・。

毎日、同じような仕事の中で、実力が高まるからやろう!という気持ちをもてるほど、余裕を持って仕事が出来るかなあ・・。

でも、その後者の考え方が出来れば、地球上のどこで働いていても、魅力的な仕事人になれるのでは!?都会からも憧れる存在?

特に、九州では他人との関係性を重要視する傾向が強いと思うので、自然と、この人のためにやってやろう!という気持ちになりやすい気がします。それによって、実力も向上する!?

九州は実力を上げるための最適な土地かも!?

(写真は、アトムそっくりの妹のウランちゃんです。事務所移転のお祝いにいただきました!毎日出勤しているので会いに来てくださいね!)

2013年3月20日水曜日

自営業の始め方



最近のボロネーゼ。見た目が全て!?
料理を始めた頃のボロネーゼ。あまり美味しくなさそう!?
休日のランチは、僕がキッチンに立つことが多い。

自分の好きなパスタを腹いっぱい食べたいからだ。

ちょっと洒落たパスタ屋さんへ行くと、宮崎でも1000円近くかかってしまう。しかも、車で、20分以上かかるし・・。

3,4年前に、「男のイタリアン」というオレンジページの本を買ってきて、ナポリタン、カルボナーラ、ボンゴレビアンコなど、定番のパスタを作るようになった。

当初は、とにかくレシピ通りでないと、事が進まないため、わざわざ、そのための食材をメモに買いて、調味料などもスーパーに買いに行って、揃えてから調理にのぞんでいた。

経験がないため、調理中に、レシピ通りに進まないとパニックになる。それに加え、指示されている用語の意味がわからない。

小さじいっぱいの、小さじって、なに?とか、

塩を少々って、少々はどのくらい!?のように、

やっていることを自分の頭では全く判断せず、指示のとおりでないと、事が進めない状態であった。


今は、ランチのために買い物には行かなくなった。冷蔵庫をみて、あ、これでいけるかも、と思える料理を考えるまで、成長できた!?


作り方は、基本的には、まだ、「男のイタリアン」を確認して、流れを理解する。だけど、本は、最初に見るだけで、本棚に戻すようになった。

今日は、ズッキーニのパスタ。

このタイミングで、この程度、オリーブオイルを入れる。塩を入れる量は、このパスタの量だと、少し少なめだな・・などと、自分の判断で、調整ができるようになった。

そして、レシピに書いていないような、少しバターを入れたら美味しいかも?とか、ニンニクをやめて、しいたけにしてみよう・・。などと新たなパスタに生まれ変わるのである。


しかし、いつも成功するとは限らない。でも、そんなやり方で、自分しかない価値ある!?パスタが生まれたりするのでしょう。


自分は、もともと、特許事務所にいて、先生のところに弟子入りしました。最初は、全く仕事がわからず、先輩に言われることや、書籍に書かれていることでしか、判断ができませんでした。

そこで、数多くのことを教わりましたが、徐々に、自分がやるなら、こうしたいな、とか、こうあるべきじゃないか、と思うようになりました。そして、自分が感じている、自分ならこうしたい!と思うことを、少しづつ実際にやり始めました。うまくいかないことも有りましたので、修正、修正を重ねて、なんとか自分色に染まったサービスになっていく。

そして、この価値に対して、他人が貴方に、お金を払い始めたら、自分しかない価値を提供する自営業への道が開けてくるのではないかな、と思います。

まずは、自営業ありき、や、お金ありき、ではなく、自分が知っている仕事に対して、自分なりの、どんな変更をしていけば、顧客にとってや、社会にとって、もっと良くすることが出来る(新たな価値を生み出す)ことができるのか、考えてみることが、自営業の第一歩なのでは?と感じました。

2013年2月12日火曜日

アイデアを交流するときに必要な信頼



「新しく、革新的なものづくりの会をやるなら、ものづくりによる心の豊かさを追求すべき。売れるとか売れないという話になったら、ちっとも革新的ではないのでは。」

先日、高校の同級生に、福岡で久しぶりに会いました。彼は、高校時代、スポーツ万能で、非常に女性にもてるタイプで、僕はいつも彼のとなりで、指をくわえて、ぼーっとしてしました・・。そんな彼は、僕が、宮崎でちょっと変わった、ものづくりの会をたちあげたことを、Facebookで知って、ひそかに応援してくれていました。その彼のセリフ。ズシンと来ました・・。

一方、

「どうせ、発明するなら売れなきゃ意味がないでしょ。発明家はシーズばかりで、ニーズを意識していない。シーズばかりに注目している個人発明家に、ニーズの重要性を教えてあげて、売れるものづくりを伝えるのが、この会の意義なのでは?」

「ビジネス戦略とか知財戦略、という、”戦略”という言葉が出ている時点で、ものを売って、ビジネスで成功することを、この会で求めているよね?」

というご指摘も、・・・・ごもっともで・・。

この会って、何を目指すべきなんだろう?という疑問が、僕の中で渦巻いていました。


一方、ここのところ、会の中で、自分のアイデアのデザインをデザイナーである会員に依頼したり、ロゴやチラシの作成を依頼したりと、会員間での交流がはじまっています。これとともに、デザイナーがその仕事を受ける際に、要求する価格の問題もでてきました。会員だから安くすべき?とか、基本料金は、どうしても譲れないのですが、高いと思いますか?などの質問が僕にくるようになりました。

ものづくりをする人も、それをサポートするデザイナーも、お互いに幸せになれる金銭のやりとりって、どうすればいいのか・・・。金銭トラブルで会員間の関係が悪くなることも、大いにあり得る・・。


また、この会は、根本的に難しい問題を抱えています。それは、アイデアの漏洩と盗作です。誰かが提案したアイデアを、誰かが競合他者に話してしまったり、自分で盗んで、商品を作ったりすることです。


これは、会を設立した当初から、恐れていたことでしたので、会合では、新規のアイデアを話さないことを会の最初に通知すると同時に、会則に、アイデアの漏洩・盗作をしないことを徹底いたしました。しかし、私としては、形式的な対策とともに、実質的な会員間の信頼関係が、なにより重要ではないか?と感じていました。



そんなことで、悩んでいると、これらの2つの課題を解決するヒントを、福岡の工業デザイナで、子供のおもちゃのお医者さんをやっている方からいただきました。



「”限りある資源”ということを忘れて、ものづくりが行われていると思うんです。これだけ、物で溢れてしまっていると、むしろ、ものづくりをする気がなくなってしまいます。これからのものづくりは、”本当に必要な物”を作るようにしないと、地球に申し訳ない。」

「最近は、壊れたおもちゃと言っても、電池を逆に入れているだけとか、液漏れぐらいで、壊れたといって、おもちゃを捨ててしまう。そんなレベルで、ゴミを増やしているって、どうかなあと思います」

そうですよね。これからは、ものを大事にするという想いを込めた、ものづくりも目指していくべきだなと、僕も本気で思いました。

僕らの会は、今までの社会が犠牲にしてきてしまった大事なことを、少しでも思い出して、それを製品に反映できるような会を目指すべきなのです。

こういう、「社会にとって大事だな」と思うメッセージを共有することは、ビジネスでの成功とは関係がないようにみえますが、こういった社会に大事なことを考え、共感し、会で共有することで、会員の結束力が高まり、会員間の信頼が醸成されるのでは?と思いました。



平たく言いますと、単に、ものづくりの会の中でお金の成功だけを求めている会になってしまうと、信頼関係がギスギスしてしまいがちですが、社会的に、道徳的に求められる、ものづくりも、あわせて考えていけば、会員間の信頼が高まると同時に、金銭トラブルやアイデアの盗用が起こりにくい会になるのではないかと思いました。


会員も、地域も、社会も、明日が、明るくなる、ものづくりの研究会を目指していこうと思います。

(写真は、昨日の宮崎港です。犬のアトムが絶好調でした!)