2013年2月12日火曜日

アイデアを交流するときに必要な信頼



「新しく、革新的なものづくりの会をやるなら、ものづくりによる心の豊かさを追求すべき。売れるとか売れないという話になったら、ちっとも革新的ではないのでは。」

先日、高校の同級生に、福岡で久しぶりに会いました。彼は、高校時代、スポーツ万能で、非常に女性にもてるタイプで、僕はいつも彼のとなりで、指をくわえて、ぼーっとしてしました・・。そんな彼は、僕が、宮崎でちょっと変わった、ものづくりの会をたちあげたことを、Facebookで知って、ひそかに応援してくれていました。その彼のセリフ。ズシンと来ました・・。

一方、

「どうせ、発明するなら売れなきゃ意味がないでしょ。発明家はシーズばかりで、ニーズを意識していない。シーズばかりに注目している個人発明家に、ニーズの重要性を教えてあげて、売れるものづくりを伝えるのが、この会の意義なのでは?」

「ビジネス戦略とか知財戦略、という、”戦略”という言葉が出ている時点で、ものを売って、ビジネスで成功することを、この会で求めているよね?」

というご指摘も、・・・・ごもっともで・・。

この会って、何を目指すべきなんだろう?という疑問が、僕の中で渦巻いていました。


一方、ここのところ、会の中で、自分のアイデアのデザインをデザイナーである会員に依頼したり、ロゴやチラシの作成を依頼したりと、会員間での交流がはじまっています。これとともに、デザイナーがその仕事を受ける際に、要求する価格の問題もでてきました。会員だから安くすべき?とか、基本料金は、どうしても譲れないのですが、高いと思いますか?などの質問が僕にくるようになりました。

ものづくりをする人も、それをサポートするデザイナーも、お互いに幸せになれる金銭のやりとりって、どうすればいいのか・・・。金銭トラブルで会員間の関係が悪くなることも、大いにあり得る・・。


また、この会は、根本的に難しい問題を抱えています。それは、アイデアの漏洩と盗作です。誰かが提案したアイデアを、誰かが競合他者に話してしまったり、自分で盗んで、商品を作ったりすることです。


これは、会を設立した当初から、恐れていたことでしたので、会合では、新規のアイデアを話さないことを会の最初に通知すると同時に、会則に、アイデアの漏洩・盗作をしないことを徹底いたしました。しかし、私としては、形式的な対策とともに、実質的な会員間の信頼関係が、なにより重要ではないか?と感じていました。



そんなことで、悩んでいると、これらの2つの課題を解決するヒントを、福岡の工業デザイナで、子供のおもちゃのお医者さんをやっている方からいただきました。



「”限りある資源”ということを忘れて、ものづくりが行われていると思うんです。これだけ、物で溢れてしまっていると、むしろ、ものづくりをする気がなくなってしまいます。これからのものづくりは、”本当に必要な物”を作るようにしないと、地球に申し訳ない。」

「最近は、壊れたおもちゃと言っても、電池を逆に入れているだけとか、液漏れぐらいで、壊れたといって、おもちゃを捨ててしまう。そんなレベルで、ゴミを増やしているって、どうかなあと思います」

そうですよね。これからは、ものを大事にするという想いを込めた、ものづくりも目指していくべきだなと、僕も本気で思いました。

僕らの会は、今までの社会が犠牲にしてきてしまった大事なことを、少しでも思い出して、それを製品に反映できるような会を目指すべきなのです。

こういう、「社会にとって大事だな」と思うメッセージを共有することは、ビジネスでの成功とは関係がないようにみえますが、こういった社会に大事なことを考え、共感し、会で共有することで、会員の結束力が高まり、会員間の信頼が醸成されるのでは?と思いました。



平たく言いますと、単に、ものづくりの会の中でお金の成功だけを求めている会になってしまうと、信頼関係がギスギスしてしまいがちですが、社会的に、道徳的に求められる、ものづくりも、あわせて考えていけば、会員間の信頼が高まると同時に、金銭トラブルやアイデアの盗用が起こりにくい会になるのではないかと思いました。


会員も、地域も、社会も、明日が、明るくなる、ものづくりの研究会を目指していこうと思います。

(写真は、昨日の宮崎港です。犬のアトムが絶好調でした!)