2012年1月29日日曜日

その事務所の豊かさ

例えば、自営業をやっていて、仕事がどんどん入ってくることは嬉しいことです。

一生懸命に考えた営業手法を実際にやってみて、自分なりのネットワークを作る。次に、ネットワークができた人を、「チームワーク」にして、その人が自分のことを、他の人に伝えてくれる。

そんな中で、「そいえば、弁理士にお願いしたい仕事あった」という人もみつかってきて、その結果として、仕事が入ってくる。

皆さんの協力や、自分の苦労の結果として入ってくる仕事は、嬉しくてたまりません。そうやって、自分が働く時間に、たくさん仕事が入ってくることは嬉しいものです。


ですが、このようにして入ってきた仕事をこなすことと同じぐらいに重要なことがあるように思いました。

え、そんなのあるの? と思いませんか?

よく、個人事業主でも、サラリーマンでも、朝9時に出社して、23時まで働いた、とか、3時まで働いたという人の話を聞く方も多いと思います。僕の考えは、どんなに長く働いても、それは、ご苦労様という言葉以外にはなく、下記のことをしていなければ、お金以外の豊かさを感じにくいのではないかと思いました。


少しづつ説明しますね。

来月に、運良くセミナーをやらせていただくことになりました。私のような若い弁理士に、セミナーを外部の団体から依頼されることは、稀で、僕自身も、私で大丈夫ですか?と聞いてしまったほどです。もちろん、皆さんに、セミナーが有用で、ためになったし、元気が出たと思っていただけるように、充実したセミナーにしようと思っています。

さて、このセミナーで、事務所のパンフレットを配らせていただくことになりました。うちの事務所のパンフレットは、ここのところ改定していなかったので、今回のセミナーをきっかけに、いいものをつくろうと決めました。

パンフレットは、その事務所の方向性を明確に示すもので、非常に重要です。特に、世の中に似たようなサービスを行なっていない内容を説明する場合は、困難が極まります。

僕の事務所は、従来の特許事務所でありながら、ちょっと、新しいことを盛り込んでいます。ですが、この新しいことを主張しすぎてしまっては、特許事務所であることが不明となり、なにをする事務所(弁護士事務所?コンサル事務所?)か不明になるのです。

しかし、新しいことが、うちの事務所の差別化戦略であり、他の事務所とは異なるサービスを提供する重要な箇所です。この部分は、僕にとっては、自己実現でもあります。ですので、この部分も強調することは自分にとって重要です。社会に挑戦する面もあります。

従来のサービスと、特有の新しいサービスとの記載のバランスを調整して、わかりやすくて、親しみのあるパンフレットを作る・・・。難しい・・当然、難しいです・・。


とはいえ、既に事務所のホームページで、ある程度、この両者の調整をした言葉や表現ができているので、これをコピーペーストして、ちょと安易にパンフレットの雛形を作成しました。

こんな感じでいいかな、と思っていました。



数日後、いつも私の事務所について、有用で核心的な意見をアドバイスしていただける、楽器職人の先輩に、パンフレットを見て頂きました。

「小木くん、逃げちゃ駄目だよ、逃げちゃ! このパンフレット、逃げていない?」と指摘。

全く意味不明に思った自分は、理解できませんでした。逃げるって・・?何のこと?


「用語に頼らないで、キーワードをきちんと説明しなきゃ。ものづくりとか、グローバルとか、政治家みたいに、言葉を並べれば、なんとなく、説明できていると思っていない?もっと具体的に、サービス内容を説明できないと、具体的な内容がないのに、理想だけ言っているように見える。具体的な内容を書くのを勝負できないの?」



ある意味、新しいサービスを社会に提案することは、怖いです。業界団体や、競合する団体、競合する事務所になんて言われるかわかりません。ですので、ボヤーっとパンフレットをオブラートに包んで逃げてしまうことは、簡単です。



また、僕は、お客さまを軽視していたのかもしれないと思いました。つまり、単に、新しいサービスを、「ものづくり」とか、「グローバル」という言葉のイメージだけで匂わせておけば、なんとなく、新しそうな特許事務所だからお客さんが来るだろう・・みたいに安易に考えていました。ちょっとお客さんを馬鹿にしていたのかなとも反省しました。

そして、何より、僕自身も、最近の仕事量に押されて、事務所のサービスについて考え直す時間を設けていないということを自覚しました。


うちの事務所って、何が出来るんだろう?何が他の事務所でできない特徴なんだろう?

逆に、企業や社会のために、何をすべきなんだろう?


こんなことを、事務所を始めた時のように考え始めました。


つまり、パンフレットの作成をきっかけに、自分の事務所のサービスを考えなおす。自分の事務所のサービスを見直す。そんな作業を始めました。


すると、自然と、自分がなぜ、この事務所を始めたのか?とか、お客さんには、ああいうふうに思ってもらえたから、こういうサービスを今後もしたい、とかを考え始めます。

これは、自分の事務所の方向性を決めるような判断基準を決める作業です。これは、売上額のように、金額には反映されない、事務所の豊かさについて考えるきっかけなのではないかと思いました。


長くなりましたが、私が、仕事をしていて、一番大事なことは、このような視点で、定期的に、自分の事務所のサービスや、企業や社会における位置づけや関わり、自分の事務所がやるべきこと、やりたいこと、について考え直すことが、日常の仕事をこなすこと以上に、大切なものかもしれないと思いました。

どうしても、日常の仕事が詰まっていると、特に、自分の事務所や会社のことを振り返る時間や心のゆとりを失ってしまいます。また、忙しいからといって、自分に対する言い訳にもしますよね。

でも、そもそも事務所や会社を始めたきっかけって、単にお金を稼ぐだけでもなく(もちろん、それも重要ですが)、自分の事務所や会社で、こんなことをやってみたい!、社会を少し変えてみたい、こんな風にみんなに感じてもらいたい、と思うことがあったはずです。これについて、思い出して、現状の仕事と比べてみるといった考察は、その事務所に特有の豊かさをもたらすように思います。

そのために、仕事しているんだ。そのために、生きているんだ。

売上額や名声以外に、こう言えるようなコダワリを自分なりに持っていることは、自分の豊かさの物差しが一つ増えるような気がします。

(写真は、パンフレットの雛形です。スケッチブックに作って見ました。どんなパンフレットになるかは、お楽しみ・・。)

(考えなおすきっかけを頂いている、楽器職人の先輩には、感謝しています。自営業の方は、自分の仕事やこだわりについて、勇気をもって相談してアドバイスしてもらえる方がいることは、会社や事務所の運営において大きな違いになるように思います。特に、人の相手をして商売している方は、物を相手に商売している方の意見は貴重だなと。)



2012年1月4日水曜日

祥雲龍翔(2012年)

みなさま、あけまして、おめでとうございます!

2011年は、大変、辛い年でしたので、あけまして、おめでとう、と、単純に言って良いとは、私も思いません。しかし、2012年を、明るい年にするために、あえて、この言葉で書きだしてみました。

今年は、辰年ですね。

「祥雲龍翔」という言葉が、今年は、ぴったりではないかと思っています。

「龍が雲をきって、自由に天を駆け巡る」 

昨年、沈んでしまった運気や元気が、今年、大きく上昇に向かう!2012年は、昨年までの雲を抜けて、駆け上りましょう!そんな、イメージで2012年を過ごせればと願っております。

今年も、宜しくお願いします。

今年の自分は、忙しい年になりそうです。春からの営業が、幸を奏して、11月ぐらいから、宮崎や九州のお客さんに出会うことができるようになりました。私の方で、全ての仕事を担当することはできないので、東京や九州の知り合いに、業務を依頼する流れになりました。

つまり、宮崎で仕事を受注して、東京で業務を行い、宮崎に納品する・・という流れです。

これって、ちょっとすごいのかな?と勝手に思っていまして、なんと、製造元が東京なんですよ!

製造業は、通常、タイや中国で、製品を作って、東京に納品したり、香港で売ったりすると思うのですが、地方の知財の仕事は、地方で仕事を受注して、東京で製品を作って、地方に納品する!という流れなのです。

既存のビジネスモデルとは、逆行している感じがして、大変興味深いなと思っています。ちょっと、この流れをしっかり、確立していければ、他の業界でも応用できるのではないか・・・・と思っています。

2012年、がんばるぞー!

もう一点、重要なお知らせが。

本日、1月4日、佐賀駅前に、友人の弁護士事務所が開業します。彼は、江戸川区出身ですが、佐賀に研修で行ったのをきっかけに、この土地に惚れて、事務所を始める道を選ばれました。

都会から地方に来て、ビジネスを始めるのは、勇気が必要で、普通の人からすると、なんで?と首を傾げるかたも多いと思います。

しかし、彼と話していたら、今の若者は、地方でこそ、業界で活躍できるチャンスがあるのではと。

常識と言われている発想の転換は、意外にも、ビジネスリスクを減らすことになるのかも!?


それでは、みなさん、2012年は、昨年までの雲を抜けて、駆け上りましょう!

@丸の内のカフェにて

(写真は、神田明神です。僕らが結婚式を行った場所で、毎年、初詣へ行っています。ジャック・ラッセル・テリアとも出会いました!)