2010年11月8日月曜日

課題は、発明の一部なのです














写真は、昔の中学一年生の教科書です。第一章は、「住宅」から始まります。

この教科書は、果たして、何の科目の教科書でしょうか?

実は、数学の教科書なのです。昭和24年文部省検査済で発行された教科書です。

この本の最初は、こう始まります。
「私たちが生活していくのに、どうしても必要なこととして、衣・食・住の三つをあげることができる。特に、わが国では、この三つのどれもが、国民全体にとって、重要な問題としてとりあげられている。・・」
どう考えても、社会の科目ですよね?

なぜこれが、数学の教科書なのでしょうか?

話の展開としては、社会における住居の役割の後に、住居の大きさについて、関心を引き寄せて、直方体等の形について説明したり、面積や容積を測ることに関心を持たせています。
ここで、住宅の説明も、おまけ程度で記載しているのではなく、見開き4ページを割いています。

いやいや、数学っていうのは、直方体などの形の名称や、面積の公式を覚えれば、よいから、このような記載は、効率を落とすよね・・というのが、ここ、20,30年の考え方かと思います。

本当に、このような、数学の授業は、非効率的でしょうか?

ところで、特許の明細書に記載する【発明の開示】という、発明の中核を記載する部分には、【課題】が含まれます。つまり、課題とは、発明の一部なのです。

ちょっと不思議ではないですか?

つまり、この技術には、こういう問題がある、ということに気がついたことは、既に、発明の一部を創作していること、になるのです。さらに、この課題は、発明の開示の最初に記載しまして、発明の内容の前に記載します。つまり、課題がないと、発明は何も始まらないということです。

課題というニーズがあって、初めて、発明が創作される。

上記の数学の教科書で、住宅から話が始まるのは、「なぜ、数学があなたに必要なのか?」を、教科書が教えているのではないでしょうか。
このことは、直方体の形を言えたり、面積を求められることよりも、大切なことだと思います。

物事のニーズや課題を大事にすることが、興味や関心を育て、知的で創造的な人間や発明を作り出すように思います。

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