
特許権は、自分が独占権を主張できる権利だから、
特許権の技術的範囲は、できるだけ広い方がいいです。
・・というセリフは、結構、教えてくれますよね。
でも、広いって、どういう広がりなんでしょうって、思いませんでしたか?
この問題って、非常に難しいように思うのですが、言葉(単語)の広がりで考えてみましょう。
例えば、文言上、「ゴム」と書いているところを、
「弾性体」という言葉に置き換えることで、特許の範囲に「バネ」を含めることができます。
つまり、日本語の大概念の選択により、広さの面積を広げ、権利範囲を広げることができます。
次に、分野における広がりがあります。
例えば、ソフトウェア発明で、ユーザが使用する発明であれば、
「パソコン」を、「ユーザ端末」とすることで、「携帯電話やスマートフォン」を含めることができます。
この作業は、「パソコン」とともに、「携帯電話やスマートフォン」も、あわせて思いつくことにより、
その共通性を見出して、共通性を表す言葉として「ユーザ端末」を搾り出すわけです。
つまり、特許の権利範囲を広げるには、
1.自分の実施する用語を特定する。
2.他の実施の用語も推測する。
3.共通性を抽出する。
4.共通性を表す言葉を使用する。
という過程が重要になるように思われます。
この、「2」の作業の際に、センスが要求されるわけです。
つまり、この「2」の作業は、「広さ」の面積のための、“方向ベクトル”を決めるのです。
例えば、ソフトウェア発明で、「携帯電話」と特定した場合に、「電子書籍端末」が思いつく場合は、センスがいい広がりのように思います。
なぜなら、将来的に、「携帯電話」で起動できるソフトウェア発明ならば、同様に、「電子書籍端末」でも起動できそうです。また、「電子書籍端末」の端末自体も世の中に非常に売れそうだからです。
それでは、「携帯電話」の発明で、「電子辞書」が思いつく場合は、どうでしょうか?
「携帯電話」で起動できるソフトウェア発明ならば、同様に、「電子辞書」でも起動できそうです。
でも、電子書籍がこれだけ普及しているのは、日本だけかもしれませんよね。
悪く無いですが、もう一歩。
というわけで、特許請求の範囲の広さを作るには、
「市場の動向から、近い将来に売れそうなもの」という展開軸が、一つの良好な軸になるのかもしれません。そして、その軸から作られる面積の網にかかる、獲物の量により、面積の妥当性を確認するのです。
もちろん、権利は20年あるんだから、遠い将来にかかる獲物も予測したいのですが、IT業界については、予測が非常に複雑です。これは、ビジネスモデルが複雑に乱立しているからではないかと思います。現状では、3,4年後の未来すら、ほとんど予測できないように思います。
そこで、少なくとも、現在わかる範囲での技術動向を知って、今後、流行りそうな技術に基づいて、「2」を判断するのが重要のように思います。
(写真は、特許請求の範囲の網に捕まった、アトムです)
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